2020年1月21日 「都市気象情報」の有効性を検証 日本気象協会が新宿高層ビルでドローン実験

日本気象協会は、防災科学技術研究所、東京工業大学とともに、「都市気象情報プラットフォームの研究開発」で試作した超高解像度「都市乱流予測」を東京・新宿でのドローン飛行実証実験に提供し、有効性を確認した。

超高層ビル街区を含む大都市でのドローンの安全飛行を目的とした超高解像度「都市乱流予測」の活用は、日本国内では初めての取り組みだという。

日本気象協会、防災科研、東工大の三者はJST未来社会創造事業での研究開発として、「都市気象情報プラットフォームの研究開発」を共同で実施している。この研究開発では、超高層ビル街区の気象予測の実現と有効利用を目指しており、都市気象情報のひとつとして超高解像度「都市乱流予測」の開発を進めている。

 

超高解像度「都市乱流予測」をチーム・新宿で試験提供

予備実証実験にて撮影

研究開発の一環として、実証実験主体の損害保険ジャパン日本興亜(株)、SOMPOリスクマネジメント(株)、工学院大学、(株)理経、新宿危機管理担当部をメンバーとする新宿駅周辺地域の有志メンバー「チーム・新宿」による「新宿区災害対策本部訓練との連携によるドローンを活用した超高層ビル街複数拠点での災害対応実証実験」において、試作中の超高解像度「都市乱流予測」の試験提供を実施した。

今回提供した超高解像度「都市乱流予測」は、新宿西口エリアを対象とした2メートルメッシュ、5分間隔の情報で、超高層ビル街区を含む大都市特有のビル風や強風、ビルによる乱流などを予測する。

チーム・新宿による実証実験では、これらの予測情報をドローン飛行の実施判断や安全監視に活用した。これにより、都市気象情報は大都市でのドローンの安全飛行に十分に活用できること、また、情報の有効性を確認・検証することができた。

これらの情報まだ試作段階で、予測の精度向上などのさまざまな課題を解決していく必要がある。今後、これらの課題解決に向けて、日本気象協会、防災科研、東工大は引き続き「都市気象情報プラットフォームの研究開発」を進めていく。

 

未来社会での成果見込む

Society5.0で提唱された未来社会では、ドローンに代表されるロボットの利用や自動走行技術の活躍が期待されており、特に人やモノが集中する都市部で実現されれば、経済的、社会的に大きな成果が見込まれる。

一方、これらの新しいロボットや技術は、強風によるドローンの墜落、熱や雨によるセンサーの性能低下など、気象の影響を受けることが知られている。こうしたロボットや技術が大都市でも最大限に活躍するためには、超高層ビル街区による複雑な気流、都市部の暑熱環境や局地的な大雨などを的確に捉えることが重要。そこで、今回の研究開発では、大都市特有の気象現象を観測、解析、予測する技術を開発し、これらの都市気象情報を一元的に提供可能な「都市気象情報プラットフォーム」の実現を目指している。

さらに、「都市気象情報プラットフォーム」はドローンの活用に限らず、日射量や風速に依存する太陽光発電や風力発電などのエネルギー分野や、大雨や強風に影響される都市の物流や防災分野での活用も見込まれる。日本気象協会、防災科研、東工大は、さまざまな社会システムとの連携を実現する「都市気象情報プラットフォームの研究開発」を通して、超スマート未来社会の創造に貢献する。


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