2017年3月30日 「抜本的な改革」の検討求める 公営企業の経営のあり方で研究会が報告書

公営企業各事業における抜本的な改革について、より具体的な考え方や留意点等を検討してきた総務省の「公営企業の経営のあり方に関する研究会」(座長:鈴木豊青山学院大学名誉教授)は22日、これまでの検討結果を報告書にまとめた。報告書では、人口減少等に伴う料金収入の減少、施設等の老朽化に伴う更新需要の増大、大量退職等に伴う職員数の減少、制度改革に伴う影響など、公営企業を取り巻く経営環境は厳しさを増しつつあることを指摘。特に中小の公営企業では、現在の経営形態を前提とした取組だけでは、将来的な住民サービスの確保が困難との懸念を示した。

その上で、各公営企業は、公営企業会計の適用、経営比較分析表の活用、中長期的な投資必要額と財源の具体的な推計等により、事業の現在の課題、将来の見通し・リスクを「見える化」して把握、分析、公表した上で、当該事業の必要性と担い手のあり方について、「抜本的な改革」の検討を行うことが必要とした。

また、「抜本的な改革」の検討において、各公営企業は、①事業そのものの必要性・公営で行う必要性、②事業としての持続可能性、③経営形態(事業規模・範囲・担い手)の3つの観点から整理を行い、事業廃止、民営化・民間譲渡、広域化等と民間活用という4つの方向性を基本として、改革の検討を求めている。

 

水道・下水道事業

水道・下水道事業については、人口減少等に伴う料金収入の減少や、更新需要の増大等を踏まえ、広域化等や更なる民間活用を検討することとしている。

このうち、水道事業での広域化等の留意点として、地域の実情に応じて、事業統合、施設の共同設置、管理の一体化など適切な広域化等の形を選択することが望ましいが、最大の改革の効果が期待できる事業統合を視野に入れて広域化等を検討することなどを求めている。

下水道事業での広域化等の留意点としては、汚水処理施設の統廃合、汚泥処理の共同化、維持管理・事務の共同化、最適化の4類型を基本として広域化等を検討することなどを提言した。

水道・下水道事業での民間活用の留意点としては、民間活用は、コストダウンだけでなく、民間の有する技術やノウハウを積極的に活用点にも意義があることに留意することなどを求めている。

 

交通(バス)・電気・観光施設(休養宿泊施設)・駐車場整備事業

交通(バス)・電気・観光施設(休養宿泊施設)・駐車場整備事業については、事業分野全体の中で民間事業者の構成割合が大きい4事業を深掘りし、事業廃止及び民営化・民間譲渡を含む抜本的な改革を検討するよう提言。バス事業については、民営化・民間譲渡や事業廃止(及びコミュニティバス等の導入)を検討することとしている。

また、総務省は、4事業について民間事業者の視点も念頭においた経営指標を新たに設定した「経営比較分析表」を作成・公表するよう求めた。

報告書ではこのほか、工業用水道、交通(地下鉄、路面電車、船舶)、ガス、港湾整備、市場、と畜場、宅地造成の各事業は、事業ごとの特性に応じ、抜本的な改革を検討することとしている。


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