2017年12月19日 「強震モニタアプリ」モニター 防災科研がベータテストで先着3千名募集

国立研究開発法人防災科学技術研究所は、これまで公開してきた「強震モニタ」のスマートフォンアプリ版の「強震モニタアプリ」のベータテストに参加するモニターを、iOS版とアンドロイド版でそれぞれ先着1500名ずつ募集している。

防災科研が公開している現在の強震モニタは、全国の強震観測網の地震計で観測した今現在の揺れを、そのままに近いかたちで配信しているWebサービス。揺れの大きさに応じた色のついた点を地図上に表示し、定期的に更新することで動画として地震の揺れの伝わる様子が直感的に理解できるよう工夫されている。

今回、スマホ向けに開発した地震モニタアプリは、全国に設置した強い揺れを測ることのできる強震計で観測される日本列島の「今」の揺れと、緊急地震速報による予測情報を重ねて表示する。また地震計だけでなく平時に利活用してもらうことも想定した機能も追加している。

ベータテストではアプリを実際に利用してもらい、利用の方法や使い勝手、ニーズなどを調査するのがねらい。総合科学技術・イノベーション会議が推進する戦略的イノベーション創造プログラムの課題「レジリエントな防災・減災機能の強化」の一環として実施するもの。モニターの募集は12月4日から行っており、募集期間は1月31日まで。参加費は無料。

平時の強震モニタアプリの利活用について防災科研では、防災科研の地震ハザードステーション(J‐SHIS)から提供されている地すべり情報や活断層マップの表示、非常時持ち出し物のチェックリスト、防災クイズ、防災マンガ、地震津波シミュレーションゲームなどの機能も追加している。将来的には、防災科研が運用する日本海溝海底地震観測網(S‐net)の情報提供も踏まえて開発を進めている。

ベータテストは、利用の方法や使い勝手、ニーズなどを調査するもので、アプリの検証や要望などを踏まえ、国民の安心安全な社会を実現するための一助となるような研究開発に活かしていく方針だ。

 

  「K‐NET」と「KiK‐net」を運用

現在、防災科研が設置・運用している強震観測網は、「K‐NET」と名づけられた全国強震観測網と、「KiK‐net」と名づけられた基盤強震観測網の2つ。

K‐NETは、全国を約20キロメートル間隔で均質に覆う1千箇所以上の強震観測施設で構成。平成8年から運用している。地震被害に直接結びつく地表の強震動を均質な観測条件で記録するために、各観測施設は、一部の例外を除き統一した規格で建設され、自由地盤上(地表)に強震計が設置されている。

震度情報ネットワークの一部に組み入れられており、観測された震度は気象庁に送られ、国や自治体の適切な初動体制の確立などに活用されるほか、テレビなどで地震直後に報道される。また、蓄積された強震記録はデータベース化され、地震防災などといったさまざまな実務や研究に役立てることができる。

KiK‐netは、全国にわたる総合的な地震防災対策を推進するため、政府の地震調査研究推進本部が推進している「地震に関する基盤的調査観測計画」の一環として、防災科研が高感度地震観測網(Hi‐net)とともに整備した強震観測網。KiK‐netの観測施設は、全国約700箇所に配置され、各観測施設には観測用の井戸(観測井)が掘削されており、地表と地中(井戸底)の2箇所に強震計が設置されているのが特徴。


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