2016年6月8日 「大都市で医師が過剰に」 医師の7割、偏在解消には悲観的

将来の医師の受給推計について、70%の医師が「将来、大都市圏でのみ過剰になるのでは」と考えていることがこのたび、国内の医師約10万人以上が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」の調査でわかった。

現在、研修制度の変化や医学部の新設など、団塊の世代の高齢化を見越して、医師を確保する施策が進められている。ただし、厚生労働省は、医師の需要は2033年頃に均衡し、2040年には全国で約1万8000人の医師が過剰になるという推計を今年の3月末に公表した。

このことから同サイトは、4月18日から24日にかけて、医師の今後の受給推計に関する調査を実施。会員の医師4022人から、有効な回答を得た(下図)。

 
wadai20160608■「大都市圏だけが過剰に」

「医師の過剰時代は本当に来るか?」という質問に対し、最も多かったのは、「大都市圏のみ医師が過剰になる」の2820人(70%)だった。寄せられた意見をみると、「現在も平均すれば、偏在しているだけで、実は過剰なのではと思う。偏在しているが故に、私の現在いるような田舎では、医師が足りない。大都市でも開業医は、もうとっくに飽和しているのではないか」(50代、精神科、広島県)や、「このままの状態で医学部卒が増えるならば増加すると考えられる。しかし、現在のいわゆる僻地へ行く医師数はあまり増えることは期待できないので、都市部に集中することとなると思われる」(70代、小児科、北海道)など、全体的な人数は増加しつつも、医師の偏在は解消されず、都市部と地方とのギャップが広がるという見方が大半を占めた。

さらに、「全国的に医師が過剰になる」と答えた医師は514人(13%)。現状の施策を未来に照らし合わせて、人口の減少と医学部の定員増を理由にあげる意見が多かった。そのほか、「始めは大都市が過剰になるが次第に地方に分散することになるだろう。よって、最終的には全国的に過剰になって行くのではないか」(40代、小児科、岩手県)や「病院の数が減り勤務医は減るが、開業医が増えるだろう」(50代、呼吸器内科、山口県)といった声もあった。

一方、「医師は過剰にならない」と答えた医師も618人(同15%)いた。意見では、「昭和50年代にも医師不足になるといわれていたが、結果過剰になっていない」(40代、脳神経外科、静岡県)や、医師の働き方、離職の増加を指摘する声があがった。

また、医療の高度化や診療科の細分化が進むことで、「医師不足になる」と主張する意見も70人(同2%)から寄せられている。


株式会社官庁通信社
〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-13-14
--総務部--TEL 03-3251-5751 FAX 03-3251-5753
--編集部--TEL 03-3251-5755 FAX 03-3251-5754

Copyright 株式会社官庁通信社 All Rights Reserved.