2019年2月5日 「先史・古代」展示室をリニューアル 3月にオープン『旧石器時代』コーナー新設(歴博)

国立歴史民俗博物館は、総合展示第一展示室「先史・古代」を今年3月19日リニューアルオープンする。1983年の開館以来、初めて総合展示第一展示室「先史・古代」の展示を大きく見直した。旧石器時代から現代まで、日本の歴史と民俗に関する約1万点の資料を展示する。

 

3万6千年間の歴史を紹介

対象とする時代は、3万7000年前に日本列島に人類が出現してから、7世紀末~8世紀初頭に古代国家〝日本〟が成立して、10世紀に中世の姿を見せ始めるまでの約3万6000年間。

これまでの展示にはなかった旧石器時代のコーナーを新設するとともに、時代区分にとらわれない①最終氷期に生きた人々、②多様な縄文列島、③水田稲作のはじまり、④倭の登場、⑤倭の前方後円墳と東アジア、⑥古代国家と列島世界‐六つの大テーマで構成。さらに、(1)沖ノ島、(2)正倉院文庫の二つの副室テーマからなる。

歴博の先端的研究が明らかにした先史時代の新しい年代観にもとづき、約3500年さかのぼった水田稲作の始まり、36年前の開館時には明らかにされていなかった調査成果を踏まえた新しい総合展示となっている。

また、民衆生活史、環境史、国際交流という三つの基調テーマと、多様性、現代的視点という二つの視点をもとに、中国・朝鮮半島や北海道・沖縄との関係も重視した展示を目指したという。歴博では、新たに特集展示コーナーを設け、最新の研究成果等の展示も順次展開する方針だ。

「先史・古代」の6大テーマのうち、「最終氷期に生きた人々」では、約11万~1万2000年前の最終氷期間中の約3万7000年前にホモ・サピエンスは日本列島にやってきたが、最初に住み始めた旧石器時代人と、その生活や環境を、実物大のナウマンゾウ模型、石器動作等を用いて展示。日本最古の土器や土偶の出現にも焦点を当てている。

 

弥生時代に始まった環境破壊や格差

「多様な縄文列島」では、当時の人々の日々の生活誌だけでなく、死生観などの精神文化に関しても、日本最大級の大型石棒(実物)や、100体もの遺体を埋葬した墓の実大も消えなどによって大胆に復元を試みている。

また、紀元前10世紀ごろ九州北部で始まった水田稲作は、ゆっくりと日本列島各地に広がり、約600年後には水田稲作を受け入れる地域と、受け入れない地域に大きく分かれた。「水田稲作のはじまり」では、弥生時代に始まったとされる戦い、環境破壊や格差など発生のメカニズムやコメ作りの始まりとの関係について示している。

紀元前1世紀ごろに、倭人は漢王朝を中心とした東アジア世界に登場した。地域のまとまりがより明確になり、地域を超えた交流も盛んとなったが、「倭の登場」では、展示空間を東アジアの海に見立て、海を通じて結びついた各地の様子を示す。中国から朝鮮半島、そして日本列島各地へと、金印を手に入れた1~2世紀の東アジアを旅する。

さらに、3世紀に入ると各地の有力者たちは、中国等との交流や競合のなか、連合して『倭王』を立てた。倭王を頂点とする有力者(王)の地位や勢力は、前方後円墳を代表とする古墳の規模等に反映された。「倭の前方後円墳と東アジア」では、列島中央部の支配者の歴史として語られてきた古墳時代像を一新。アジア諸地域との交流から生まれた古墳社会の姿を、王と人々の暮らしや技術、列島南北の様子に力点を置き、最新資料で描く。

「古墳国家と列島世界」は、同館では初の飛鳥時代の展示となる。展示室の中央には、須弥山石と呼ばれる奈良・飛鳥でみつかった巨大な石造物の復元複製を置いている。


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