2018年1月30日 「優しい介護」スキル学習 京大准教授が民間企業とシステム開発へ

京都大学大学院情報学研究科の中澤篤志准教授を代表とする研究グループと㈱エクサウィザーズ(東京都港区、石山 光代表取締役社長)は、ウェアラブル・センシングや人工知能技術(AI)など使って、ケア技術「ユマニチュード」のスキル解明や、スキルを自己学習するシステム構築に向けた共同研究・開発を開始した。知覚や感情、言語による包括的なコミュニケーションに基づくケアの技法である「ユニマチュード」。〝優しい介護〟を行う際のテクニックで、介護スキル体系として国際的に知られている。

中澤研究室の画像認識を用いた視線一致(アイ・コンタクト)検出技術などをエクサウィザーズに提供し、実際に介護中の行動を解析するプロトタイプシステムを作成。また、エクサウィザーズでは、このような技術を通じて、ケアがどのように提供されているかを情報化するプラットフォームの実現を目指す。

 

介護動作をAIなどで計測

認知症のケアは被介護者とともに、介護者の負担が大きいことが知られているが、適切なケア技術を学ぶことで負担感が減少するともされている。この〝優しいケア技術〟を解明するために、中澤准教授を代表とする科学技術振興機構CRESTプロジェクト「『優しい介護』インタラクションの計算的・脳科学的解明」が昨年10月に始まった。

プロジェクトは、認知症に対する〝優しい介護〟の技術(スキル)に着目して、介護動作をウェアラブルセンサや人工知能(AI)等を用いて計測。さらに、脳科学計測で〝優しい介護〟を行う際の感情認知機構を理解し、得られた情報を統合して〝優しい介護とは何か〟を解明する。

この取組に基づき、介護のスキルを学べる手法やシステムを開発するとともに、優しい介護が被介護者に有効化を可視化する技術も併せて開発。また、実際の医療現場や介護現場で計測・実証確認し、有効性を検証する。

 

「触れる」動作を計測

中澤准教授のグループでは、一人称視点映像(頭部ウェラブルカメラ)と深層学習を使った映像認識技術を使って、介護動作中の視点一致(アイ・コンタクト)の検出技術を開発している。

また、エクサウィーズでは、ベッドの真上部分に設置したカメラで撮影した動画を、深層学習を使った画像認識技術を使って介護者の頭部と被介護者の頭部を検知し、位置・距離を解析している。

また、介護者がつけているマイクから音声を検出し、同じく深層学習を使った音声解析技術を使って、どのような内容でどの程度の時間話しかけているのかを解析するなど、人工知能が優しい介護(ユマニチュード)の方針に沿ってアドバイスする「コーチングAI」を開発している。

中澤准教授ら研究グル―プでは今後も研究を続け、新たに介護中の〝触れる〟動作の計測や脳活動計測を通じて、優しい介護ケアにどのような行動が重要なのか、どのようにして多くの人にケア技術を教えることができるのかを解明する。


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