2019年5月28日 「みちびき」利用したドローンの実証実験 1メートル四方のピンポント配送を想定(NEDO)

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、楽天株式会社は、内閣府宇宙開発戦略推進事務局、経済産業省の協力要請に基づき、準天頂衛星システム『みちびき』の高精度測位情報(センチメーター級測位補強サービス)を「楽天ドローン」の専用機体『天空』の自律飛行制御に活用し、物流分野でのピンポイント配送(1メートル四方以下のターゲットへの着陸)を想定した実証実験を行った。今回の試験は、①有限な空間の有効利用、②画像認識用マットの省略といった三つの意味を持つもの。有限な空域の有効利用や画像認識マットやドローンポートなどの着陸用の地上設備の簡易化に関して、実現の可能性を確認するとともに、「みちびき」の物流用途における活用可能性を検証することができた。

実験は、NEDOが株式会社自律制御システム研究所、三菱電機株式会社、一般社団法人日本ドローンコンソーシアム、公益財団法人埼玉県公園緑地協会とともに、今年3月12日から18日にかけて埼玉県熊谷市・熊谷スポーツ文化公園内の「彩の国くまがやドーム」で実施した。

NEDOでは、物流、インフラ点検、災害対応などの分野で活用できる無人航空機の性能評価基準などの研究開発を進めるとともに、安全に社会実装するためのシステム構築や飛行試験などを実施するプロジェクトを進めている。具体的には、運航管理システムの開発、衝突回避技術の開発、国際標準化活動に取り組んでいる。

一方、昨年11月にサービスを開始した準天頂衛星システム「みちびき」は、GPSを補い、非常に高精度な測位を行うセンチメーター級測位補強サービスの提供ができることや、天頂付近に長く留まることで衛星からの配信信号が周囲遮蔽物の影響を受けにくく、ビルの谷間などの場所での利用可能性が高いといった特徴を備えている。

今回の実験は、①有限な空域の有効利用、②画像認識用マットの省略、さらに③ドローンポートの小型化―ということで、次のような面で大きな可能性を有している。

 

□有限な空域の有効活用

将来、多数のドローンが飛び交う世界を想定した場合、高精度な測位とそれを用いた飛行制御が可能となることで、飛行するドローン同士の間隔を小さくし、有限な空域内で同時に数多くのドローンが飛行できるようになる。

 

□画像認識用マットの省略

高精度な測位とそれを用いた飛行制御が可能となることで、着陸のための画像認識用マットや画像認識ユニットの搭載が不要となる。

 

□ドローンポートの小型化

ドローンを用いた物流において、高精度な着陸が可能になることで、ドローンポート(離着陸場)を小型化することができ、必要な場所に容易に配置することが可能となります。これにより、効率的な運用ができるようになる。

今回の実証実験は、『みちびき』を用いた飛行精度を検証するため、周囲が構造物で囲まれているドームで実施。テフロン天井のドーム内は、屋外と比べて電波が減衰し電波強度が弱い環境である反面、風による影響を受けないため、着陸時の位置精度試験として適切なデータを取得することができる。また通常は、ドローンにカメラなどのセンサーを搭載して、着陸位置制御を行うといった方法が用いられるが、今回はカメラなどのセンサーは用いず、準天頂衛星システムによる位置制御のみを用いて実証実験を実施した。

実証実験の結果、1メートル四方の枠内をターゲットとし、幅数センチメートルの白線上にピンポイントで着陸させることに成功し、高精度なピンポイント配送が実現できることが分かった。これにより、有限な空域の有効利用や画像認識マットやドローンポートなどの着陸用の地上設備の簡易化に関して、実現の可能性を確認するとともに、『みちびき』の物流用途における活用可能性を検証することができた。


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