2021年4月6日 【研究開発】自身のセルフデザイン力を育成 東大が企業とサービス開発

 

心身の健康上の問題により就業中の生産性が低下してしまう「プレゼンティズム」の問題が大きな社会課題となっている。リモートワーク化が進むポストコロナ社会では、仕事と生活の切り替えが難しくなり、生産性の維持が一層課題となっている。

こうした現状を踏まえて、東京大学大学院教育学研究科の下山研究室は、仕事と生活の切り替えを的確に行う要因を明らかにする調査研究を実施した。その結果、日本型組織で主流な会社主体の従業員の管理ではなく、社員自身が自らの働き方を主体的に工夫する「セルフデザイン力」が、境界の曖昧化が進む仕事と生活の切り替えを円滑化し、生産性低下を予防することを明らかにした。

この研究成果から、下山研究室は、健康経営サービスの提供を行ってきたパーソルワークスデザイン㈱(本社:東京都豊島区)と共同で、心身の状態や仕事への取り組み方を継続的にモニタリングし、社員自身の主体的なセルフデザイン力を育成するサービスを開発した。セルフデザイン力のさらなる動機づけと促進には、アバターを用いた自己語りを活用する。本サービスは、医療モデルによる健康管理ではなく、社員の主体性を育む成長モデルによる健康経営への革新的な構造転換を提案している。

コンディションの「見える化」実現

セルフデザイン力を促進するために、社員が自己の心身の状態に気づく環境を提供することが必要となる。下山研究室とパーソルワークスデザイン㈱と共同で、セルフデザイン力を育む「セルフモニタリング」システムの開発を行った。テーマが設定されたサーベイ(調査)を1週間に一度実施し、自分のコンディションの見える化を行う。

さらに、コンディションに基づいた専門的なフィードバックを通じて、働き方を自己調整する主体性を育てていく。自分に意識を向けることが少ない日本人の文化特性に寄り添って、答えやすいテーマからサーベイを行う。

このサービスは、ストレスチェック制度の限界を越える革新的なサービスになる。従来、ストレスチェックは、不調者の早期発見と職場環境の改善という管理的側面が強い「医療モデル」に基づくものであった。管理に対する懸念から回答が歪みやすいことや、専門的な相談につながりづらいことが課題となっていた。対して、今回の「セルフモニタリング」システムは、社員の主体性を育む「成長モデル」に基づくもの。働く人が会社の管理から離れ、自己のこころの健康維持のために心身の状態に主体的な関心を向け、必要に応じて自発的に心理相談につながれるサポート環境を提供する。

この研究で開発した「セルフモニタリング」システムは、社内で展開される素顔を隠して利用できるアバター心理相談システムと統合して運用される見込み。セルフモニタリングのフィードバックでは、自ら取り組める生活の工夫を提案し、社員が任意でアクセスできるアバター心理相談システムを提供する。これにより、心身の不調や自分の働き方に関する気づきについて、必要に応じて専門家と気軽に話し合うことが可能となる。

平成 30 年の厚生労働省の報告によると、心理相談を利用する社員は 1%に留まっている。

しかし、社員一人一人が自分の健康関連情報にアクセスするとともに、自分自身について安心して話せる場を保障されることで、専門相談に至るまでのギャップを縮小することが期待できる。本サービスは、働く人が自分の状態に気づき、主体的に対処する力、さらに、仕事と生活のあり方を問い、自ら組み立てながら働く風土を育てることをめざし、ウィズコロナ・ポストコロナ社会における健康経営の構造転換を提案する。


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