2022年6月6日 【東北大】民間ファンド獲得 スポンジ状カーボン新素材GMSの事業化に向け

■ポイント□

〇事業化資金を獲得、NEDO事業にも採択

〇耐久性の課題を世界で初解決

〇燃料電池など応用と社会実装を推進

 

東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の西原洋知教授が開発したしなやかな新素材「グラフェンメソスポンジ(GMS)」が社会実装に向けて大きく前進することになった。WPI-AIMRと今年2月に設立した東北大発ベンチャーの㈱3DC(所在地:仙台市)が、このほど民間のベンチャーキャピタルファンドであるリアルテックファンドから事業化資金を受けることが決まった。また、資金獲得に先立ち、今年4月には国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の起業家候補支援プログラム(NEDO Entrepreneurs Program;NEP)に採択されている。

炭素(カーボン)原子だけでできた物質には様々な種類がある。これまでに東北大学でいくつものカーボン新素材が生み出されており、電子材料や構造材料などに使うための研究開発が精力的に進められている。

今後WPI-AIMRは、3DCと共同研究契約に基づき連携して、さらなる研究開発を進め、GMSのリチウムイオン電池や次世代電池であるリチウム硫黄電池、燃料電池など、蓄電・発電デバイスへの応用と社会実装を進める方針だ。

従来の炭素原子がハチの巣のように六角形に結びつく「グラフェン」は、極めてシンプルな構成がもたらす性能から実用化が大いに期待されているが、耐久性や製造コストの課題から用途が非常に限られてきた。

一方、東北大が2016年に開発したGMSは、グラフェンと同様のほぼ炭素1原子分の厚みでありながらスポンジのような三次元構造を備えている。

この連続した三次元構造が、これまでの耐久性の課題を世界で初めて解決するという。また、一般的な電池用カーボンよりも柔軟であるため、電池電極の構造変化に追従できるだけでなく、さまざまな応用展開が期待される。西原教授の開発した製造方法を活用して、3DCはGMSの量産性をさらに高め、製造コストを大幅に下げる製造技術の確立に目処をつけつつある。


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