凸版印刷㈱(本社:東京都文京区)と国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、量子コンピュータでも解読が困難な耐量子計算機暗号(Post-quantum cryptography:PQC)を搭載したICカード『PQC CARD®』を世界で初めて開発し、NICTが運用するテストベッド「保健医療用の長期セキュアデータ保管・交換システム」における医療従事者のICカード認証と電子カルテデータへのアクセス制御に適用し、有効性の検証に成功した。
今回開発した『PQC CARD®』には、米国政府機関の国立標準技術研究所(NIST)が今年7月に標準技術候補として選定した次世代の電子署名方式「CRYSTALS-Dilithium(クリスタル・ダイリチアム)」を採用した。
『PQC CARD®』の開発では、PQCに関する先端技術を有するISARA Corporation(本社:カナダ・オンタリオ州、ISARA)とも連携している。
凸版印刷とNICTは、今後この技術を活用し、高秘匿情報を将来にわたって安全に流通、保管、利活用できる量子セキュアクラウド技術の開発を推進する。また、量子コンピューティング時代で、ICカードのセキュリティにとどまらず、インターネット上で日常的に行われる電子メールや、オンラインショッピング、キャッシュレス決済、ネットバンキングなどインターネットのセキュリティを担保する基盤技術を構築し、安全・安心な社会インフラの実現を目指す。
この研究の一部は、内閣府SIP『光・量子を活用したSociety 5.0実現化技術』及び総務省『グローバル量子暗号通信網構築のための研究開発(JPJ008957) 』の支援を受けて実施された。