2018年7月31日 ECUでISOBUS認証を取得 国産技術として初のグローバルスタンダード適合

農研機構は、株式会社農業情報設計社と共同で農業機械用のECU(電子制御ユニット)を開発し、通信制御共通化技術の国際標準である「ISOBUS」の正式な認証を国際技術として初めて取得した。

「ISOBUS」は、国際規格ISO11783の実装技術を国際農業電子財団AEFが一定のガイドラインに沿って認証するもの。欧米ではトラクタや作業機の接続互換性のグローバルスタンダードとして大型農業機械を中心に広く普及している。

今回認証を取得したのは、粒剤散布機用のECU。「ISOBUS」対応の操作用端末(バーチャルターミナル)を持つ世界のどの車両と接続しても、機器相互間の通信が保証され、共通の操作で作業機の状態表示や動作指示が可能となる。

 

 共通化技術の社会実装への期待

トラクタなどの車両、装着作業機、後付け電子機器など、異なるメーカーの機器を組み合わせることが多い農業機械では、技術開発の効率化と利用者の利便性のためにメーカー間の壁を越えて接続互換性が保証される共通化技術が必要とされてきた。欧米では、国際規格ISO11783が開発され、ISOBUS(イソバス)という名称のグローバルスタンダードとして大型機械を中心に普及が進んでいる。

一方、日本では比較的小型で低コストな機械が中心だったため対応が遅れていた。しかし、近年ではスマート農業への関心の高まりや、ISOBUS装備の輸入農機の増加等を受け、国際標準に準拠しつつ国産の農業機械にも適用可能な共通化技術の社会実装に対する期待が高まっている。

農研機構では、平成20年度以降、ISO11783規格を国産の農業機械に適用するための技術開発に取り組んできた。その取り組みでは、技術的な完成度を高めることと、国内でまだ認証取得の前例がなかったことから、粒剤散布機用の作業機ECUの開発を通してISOBUS認証の取得とそのノウハウの蓄積を目指して研究が進められた。

 

 認証取得技術の内容

開発された粒剤散布機用の作業機ECUは、自走式乗用管理機に装着した粒剤散布機に適用するもの。粒剤散布機の制御部はメーカー独自の仕様で作られているが、このECUがISOBUSネットワークとの橋渡しを行い、ISOBUS対応のバーチャルターミナル(操作用端末)との通信を可能にする。

また、開発された粒剤散布機用ECUは、AEFの公認機関の1つであるドイツの「ISOBUS Test Center」で認証試験を受験し、AEF規程のISOBUS機能のうち、「最低要件」と「汎用端末(クライアント)」と呼ばれる機能について認証を取得した。

認証取得の結果、①ISO11783の複雑な手順を処理して通信を確立 ②作業機の状態を作業機ECUから送信し、バーチャルターミナルに表示 ③バーチャルターミナルの操作により、作業機に適切な指示を送信 ④規格準拠のバーチャルターミナルであれば、どの製品でも同じ機能が実現可能 ⑤将来的なISOBUSの拡張機能(例えば自動制御のための機能等)の付加が可能 ― といった動作が保証される。

AEFで認証を受けたISOBUS対応機器は、「ISOBUS認証機」という用語やステッカーの表示ができ、ネット上で「AEF ISOBUSデータベース」に掲載・公開される。こうしたことにより、ISOBUS対応機であることが明確になり、接続互換性の確認も容易になる。

 

 ISOBUS認証取得の意義

通信制御の共通化は、通信方法がメーカーごとに異なることで生じていた問題を解決すると同時に、将来的には必要に応じて高度な機能を追加できるようになり、まさに農業機械のシンプル化と高度化の両立を果たすための基本技術である。

特に、ISOBUSはオープンな通信仕様であることから、トラクタと装着作業機の間の通信だけでなく、ほ場外の管理コンピュータとデータ交換を行って作業指示や作業履歴の収集・管理に活用することも容易である。そのため、ISOBUS対応のバーチャルターミナルを有する管理機やトラクタについては、本作業機ECUを用いることで、多様なメーカーの機器を組み合わせる場合でも、確実に生産者がその有効性を活用できる。

今回、農研機構が国産技術として初めてISOBUS国際認証を取得したことは、これらの分野に適用可能な共通化技術が国際水準に達したことを示すもの。また、通信基盤という非競争領域でのグローバルスタンダードへの対応を目指す国内各メーカーのボトムアップの一助になると考えられている。

 

 更なる上位機能への対応

今回認証を取得したのは、ISOBUSの中でも最も基礎的な機能のみである。今後の予定では、さらなる上位機能として、例えば「タスクコントローラ(クライアント)」機能への対応が考えられる。

この機能は、事前に作成したマップ情報に応じて、例えば肥料の施用量をほ場内の場所ごとに自動的に増減するもので、局所的な地力の差や生育ムラに対応して肥培管理をきめ細かく行う精密農業に不可欠な機能である。粒剤散布機用ECUがこの機能に対応すれば、あとは規格に適合したタスクコントローラを導入するだけで実現可能になる。

また、近年開発・導入が進むロボット農機への活用も期待される。


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