順天堂大学は、カルビー株式会社との共同研究講座「グラノーラ健康科学・予防医学講座」を開設することとなった。講座では、カルビーが1991年から製造・販売しているオーツ麦、ライ麦などの穀物を主原料とした朝食グラノーラ「フルグラ®」のさまざまな健康価値について、3年計画で研究に取り組む。朝食を「フルグラ®」に変えることにより、減塩による降圧効果や脂質異常の改善にどのように貢献するのかについて、機序を含めた科学的な解明を目指す。降圧効果や脂質プロファイルの改善効果による高血圧症、脂質異常症等の生活習慣病の予防や生活習慣病に起因する動脈硬化性疾患の予防を実現できれば、国内や同様の病態が急増しているアジア諸国における健康、医療経済に大きくつながることが期待される。

会見に出席した松本会長、天野医院長ら

6月6日に順天堂大で行われた記者会見では、共同研究プロジェクト開始に至った経緯や思いについて、カルビーの松本晃代表取締役会長兼CEOと順天堂大の天野篤大学院医学研究科心臓血管外科学教授、順天堂医院院長らがそれぞれ説明。松本会長は、「塩分過多な日本人の朝食をフルグラに置き換え、減塩をすることによって高血圧をはじめさまざまな疾患に効果が期待できると思っています」と述べ、親交のあった天野院長に相談をして、共同研究プロジェクト始動に至ったことを説明した。

天野教授は、「松本会長から共同研究のお話をいただいた時に、グラノーラ朝食は幅広い世代に受け入れられ、無理なく減塩ができると感じ快諾しました」と語り、日本人の朝食は世界的にみても塩分摂取量が多く、塩分過多な食生活は高血圧から腎臓病や脳卒中など、さまざまな病気に繋がっている現状を指摘。また、仮に医師が治療をしても、患者の生活習慣自体が改善しないと再発してしまうと述べた上で、「グラノーラ朝食を通じて、高齢者の塩分過多な食生活自体を改善し、高齢者の高いQOL(Quality Of Life)を確立するというミッションの一助となればと考えています」と説明した。

今回の共同研究プロジェクトは、心臓血管外科、腎臓内科、循環器内科の3科がそれぞれの研究テーマを掲げて実施するもの。

①増加する高血圧患者に対するグラノーラ朝食の可能性、②グラノーラ朝食による血圧改善と慢性腎臓病進展リスク軽減の可能性、③グラノーラ朝食による心不全由来の睡眠時無呼吸症候群の可能性等に関する研究を推進する。

このうち、高血圧患者への可能性では、日本人の死因2位は心疾患、4位は脳血管疾患といった血管疾患で、この主要因は動脈硬化であることを踏まえ、すでに動脈硬化が進行している患者で、グラノーラ朝食による減塩を実施し、降圧効果、血管病変進展抑止効果(二次予防効果)を検討するもの。

血圧改善と血圧改善と慢性腎臓病進展リスク軽減の可能性に関しては、現在、わが国の慢性腎臓病患者は1330万人、高血圧者は4300万人といわれているから取り組むこととなったもの。慢性腎臓病患者、高血圧者ともに、食塩摂取量を減らすことにより、症状の改善が期待される。順天堂大では、「朝食をグラノーラに置き換えることにより、1食あたり3~5グラムの減塩に加えて、食物繊維、鉄、β‐グルカンも摂取できるため健康への効果が期待できる」としている。

睡眠時無呼吸症候で、心不全患者の半数以上に睡眠時無呼吸は合併することから、心不全患者の朝食をフルグラに置き換えることで、3~5グラムの減塩し、心不全患者の半数以上に合併する睡眠時無呼吸に対する軽症化、更には心不全の安定化効果に関する研究を進める方針だ。