利用者と契約書を交わす際、身元引受人や身元保証人などが誰もいない場合は受け入れを拒否している介護施設が30.7%にのぼることが、みずほ情報総研が行った厚生労働省の委託調査で明らかにされた。利用料の保証や入院する際の手続き、死後の対応などに関し問題が起きるのではと懸念し、あらかじめリスクを回避するところが少なくない。

この調査は、全国の特養や老健、グループホーム、有料老人ホームなど4900施設が対象。昨年12月に実施し、48.7%の2387施設から回答を得たという。

 

介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業

■ 33%は条件付き受け入れ

それによると、全体の95.9%が契約書を交わす際に本人以外の署名を求めている。この「本人以外」に期待する役割では、

○ 亡くなった後の遺体、遺品の引き取り:90.4%
○ 入院する場合の手続き:88.4%
○ 利用料金の支払い、滞納した場合の保証:88.2%
○ 医療行為への同意:77.9%
○ 医療費の支払い:67.8%
○ 損害賠償など債務の保証:58.8%

‐などが多かった。

身元引受人や身元保証人などの署名が得られないケースの対応をみると、「条件付きで受け入れる」が33.7%で最多。以下、「受け入れない」が30.7%、「決めていない」が20.3%、「そのまま受け入れる」が13.4%と続いている。「条件付きで受け入れる」とした施設の条件では、「成年後見制度を申請してもらう(74.4%)」「市区町村に相談する(55.0%)」が多かった。

「意思決定能力に不安がある本人と単独で契約を結んだことがあるか」との問いには、77.6%が「ない」と答えている。これから整備すべき制度を尋ねたところ、「市区町村が身元保証人の役割を果たす(56.4%)」、「成年後見人に広範な権限を与える(49.1%)」などが目立っていた。

■「滞納リスクなどに課題あり」

みずほ情報総研はこうした結果を踏まえ、「成年後見制度が大きな役割を果たしている一方で、利用料の滞納リスクや医療同意については課題がある」と指摘。調査の中では、「生活保護ではない低所得、無年金の方で問題が起きやすい」「扶養義務者以外に連帯保証を求めることが果たして適切なのか?」「後見制度は費用面の課題がある」「後から遺族が出てきてトラブルになることもある」といった声も寄せられたという。

国の介護施設の運営基準には、「正当な理由なくサービスの提供を拒んではならない」と規定されている。厚生労働省はこれまで、身元保証人などがいないことは「正当な理由」にあたらないと指導してきているが、現場がうまくついてきていない実態が改めて浮き彫りになった。今後、1人暮らしで身寄りのない高齢者はますます増えていく見通しだ。