2019年6月17日 老年医学会、ACP推進に向けた提言発表 日本における理解・実践での混乱解消へ

日本老年医学会は6日、人生の最終段階における意思決定支援プロセスである「ACP(Advance Care Planning)」の推進に向けた提言を発表した。日本国内でみられる理解や実践での混乱を解消するのが狙いだ。

ACPをめぐっては、厚生労働省が昨年3月、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を改訂。今回の提言は、老年医学会がこれまで示しているものに踏まえ、こうしたガイドラインと共通の理念で策定しているという。

老年医学会は、ACPの定義について「将来の医療・ケアについて、本人を人として尊重した意思決定の実現を支援するプロセス」だと説明。その実践のためには、本人と家族らが医療チームと対話を通じて、本人の価値観や意向、人生の目標などを共有し、理解したうえで、意思決定のために協働することが求められるとした。さらに、本人の意思決定が困難になった場合も、本人の意思をくみ取り、本人が望む医療・ケアが受けられるように実践していく必要があるとしている。

対象は医療・ケアを受ける全ての世代の人に設定。一方で、ACPの開始については、対象の多くが高齢者になることから、通院や入院している人はサービスを受けている医療機関で行うことを推奨した。さらに、医療を受けていない高齢者に関しても、要介護認定を受ける頃までには開始するほか、すでに介護施設に入所している高齢者は直ちに開始すべきだと指摘。すでに意思表示が困難になっている場合であっても、ACPの開始を考慮すべきだと訴えた。そのうえで、近い将来においては、要介護や健康の状態を問わず、出来るだけ早めに、可能な場合は壮年期から開始することを推奨。疾患や障害によっては、小児期や青少年期から行うケースもあるとした。

医療従事者には、十分なコミュニケーションを通し、関係者が納得できる合意形成とそれに基づく選択・意思決定を目指すよう要請。決定に向けては、利用可能な全ての治療・ケアに関する選択肢を挙げ、それぞれのメリットとデメリットを比較検討するとした。また、継続的に話し合うことで価値観や意向を理解。それを通じて信頼関係を醸成し、より適切に合意形成合意形成へのプロセスをたどることが可能になるとしている。

 

■ 代弁者・ACP促進の支援者にも言及 

提言では、「代弁者」の項目も設けているのが特徴。代弁者は本人が選定するのが望ましく、代弁者も自分が指名されていることを承認している必要があるとした。すでに本人の意思表示が困難なケースでは、本人と信頼関係があり、価値観を理解、推定される意思を伝えられる人が関係者の合意のうえでなることが望ましいとしている。

そのほか、本人や家族ら、医療・ケアチームと協働して対話を促進する熟練した医療・ケア関係者を、「ACPファシリテーター」としてチームに参加させることも提案。医師や看護師、訪問看護師、メディカルソーシャルワーカー、介護支援専門員(ケアマネジャー)などがなりうるとしている。


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