2018年9月11日 欠けている知識を補完! 新たなケアプランAIが登場 福岡で実証実験へ

福岡市での採択式(画像提供:ウェルモ)

ケアマネジャーの「知らない」をなくす―。そうしたコンセプトで開発が進められてきた人工知能(AI)の実証実験が福岡市で始まる。

仕掛けるのは介護・福祉の課題解決をミッションに掲げるベンチャーのウェルモ。居宅介護支援のケアプランづくりをサポートする「ケアプランアシスタント(CPA)」のトライアルを来月から実施する。福岡県のケアマネ協会や福岡市もこれに協力していく。将来的にサービスの質の向上や効率化につながる期待があるとして、過去のケアプランや関係資料を提供するよう市内の全ての事業所に働きかける。

自治体や協会と組んで“ケアプランAI”をテストするのはシーディーアイに次いで2社目。来年の秋にもβ版サービスの開始までこぎ着け、そこから現場への普及を目指す計画を進めている。助言などを行う実証実験の顧問には、ケアマネ協会の柴口里則会長が就いた。

 

■ 第2表の作成支援ツール

ウェルモのCPAが学んでいるのは、介護保険制度、あるいは居宅介護支援の法令やガイドライン、これまでに蓄積されたケアマネジメントの技術・ノウハウ、看護・介護・リハビリのアプローチに関するアカデミックな成果、論文、参考書籍といった幅広い知見だ。これと過去のケアプランのデータがシステムの根幹を成す。

CPAは第2表の作成支援ツールだ。利用者の状態をパソコンで入力すると、AIが「解決すべき課題」の候補を提示。どれかを選ぶと自動で書類に反映される。ケアマネはアセスメント結果などを踏まえ、それをソフト上で加筆・修正するだけでよい。その後も長期目標、短期目標、サービス内容、サービス種別などの順に選択肢が示される。ケアマネはそこから選び、必要に応じて書き換えながらプランを練り上げていく。

ケアプランアシスタント

 

■「必要な専門性の幅が広すぎる」

自分の能力や資質に不安がある― 。国の2016年度の調査結果によると、そう答えたケアマネは45.9%にのぼっているという。

CPAの特徴はこの数字に着目している点だ。項目ごとに提示される選択肢は、AIが学んでいる幅広い知見を基に生成される。過去のケアプランのデータはできるだけ実用的な文言・文章を生み出すための材料だ。個々のプロセスで判断の根拠となっている文献の要約を自動で示す機能もある。ケアマネはこれらを吸収しながらケアプランを作っていく。自分に欠けている視点を新たに発見し、それを補完しながら仕事をこなしていける。

「ケアマネは必要な専門性の幅が広すぎる。利用者さんは多様なニーズを抱えているが、その全てに的確に対応するなんて人間には無理。どうしても基礎資格の領域に偏ってしまう」

ウェルモの鹿野佑介代表取締役CEOはそう話す。「個人の知識の差を限界までなくしたい。重い負担となっている学習コストの軽減にもつなげられる。業務の効率化とあわせて実現し、多くのケアマネが利用者に寄り添う時間を増やせる環境を作れれば」と語った。

 

■ AIが事業所名まで提案

ウェルモ 鹿野CEO

ウェルモは2013年の創業以来、介護事業所をはじめとする地域の社会資源の情報を検索できるWebサービス「MILMO」を運営してきた。新たなCPAではこのデータベースも活用していく。あそこの通所にはこんな機能訓練の設備がある―。そうした個々の事業所の特性を踏まえ、サービス種別にとどまらず具体的な事業所の名前も選択肢として提示する。

鹿野CEOは「地域の社会資源の情報は非常に大事。個々の利用者の課題に対応できる事業所の推薦まで、第2表の作成を一気通貫で支援するシステムを目指す」と構想を明かした。事業所のデータベースは拡大を急ぎ、数年後には全国を網羅するスケールにまで成長させたいという。


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