2018年9月4日 幸福感、大事なのは「マインドフルネス」 広島大研究Gが調査研究、過労問題などの解決糸口に

一般に収入の高い人の方が、幸福感が高い傾向にあると言われているが、〝マインドフルネス〟という心理的な傾向の高い人は、収入の多少にかかわらず、高い幸福感を感じていることが、広島大学准教授らが行った大規模調査で明らかとなった。自らの経験を言葉に表わすのが得意であったり、自分の経験に批判的にならない心理的傾向である〝マインドフルネス〟。研究グループでは、こうした心理的傾向はトレーニングで向上できると指摘。さらに、今回の調査結果は幸福に至る多様な道筋があることを示唆しており、ワークライフバランスや過労の問題など、多くの働く人々が直面する問題へのよりよい解決に糸口になることが期待される。

この傾向を初めて解明したのは、広島大大学院相互科学研究科の杉浦義典准教授と杉浦知子特別研究員ら研究グループ。

GNP(国民総生産)やGDP(国内総生産)といった経済的なものに代わる豊かさの指標として、『国民総幸福量』という言葉が注目を集めるなど、お金で測れない幸せへの関心が高まっている。しかし、そもそも経済力と幸せの関連はどうなっているのか?。多くの研究では、こうした影響はあまり強くないものの、収入の多い人の方が幸福感が高い、ということが示されている。だが、関連の強さを表わす相関係数という指標でみると、0.01から0.02程度と統計学的にはわずかといえる。

今回、研究グループは、収入と幸福感の関連があまり強くないことに注目して、収入が幸福感に影響する人と、収入が多くても少なくても幸せを感じられる人がいるという仮説を立てて、調査を進めた。

研究グループでは、収入が幸福感に影響するかどうかは、マインドフルネスと呼ばれる心理的な傾向の違いによるものではないかと考えた。この心理傾向が高い人は、その瞬間瞬間に起きていることに丁寧に注意を向ける。例えば、食事のときもスマホをみながらかきこむのではなく、じっくり歯ごたえ、味、香りを味わう。

また、自分よりも収入の多い人や社会的に成功している人と比べて、ついひけめを感じたりすることは誰にでもあるが、そのようなときにマインドフルネスの高い人は、一時の思いに振り回されずに、「自分は自分、他人は他人」としてそれぞれかけがえのない大切な存在であると感じて平穏な気持ちを保つことができるという。

研究は、20歳から60歳までの社会人800名に、年収、幸福感、マインドフルネスに関する質問を含んだウェブ調査を実施し、年収について回答を得られた734名を対象に分析した。マインドフルネスの傾向の高い人と低い人の違いを分析したところ、傾向の低い人では収入の多い人の方が幸福感が高いという従来通りの結果であったのに対し、高い人では収入と関係なく幸福感が高いことがわかった。

人は起きている時間の約半分は目の前のことと関係ないことを考えているというハーバード大による研究成果を出すまでもなく、人は望まなくてもいろいろなことが勝手に頭に浮かぶもの。例えば、「お金が無いと良い人生は送れない」という考えが浮かんだ際、その考えを真に受けてしまうと、「私の年収では幸せになれない」と落ち込んでしまい、幸福は損なわれるが、雑音のようなものとして、真に受ける必要も否定する必要もないと思えば、幸福は損なわれない。

また、杉浦准教授らによると、マインドフルネスは、自分の呼吸にゆっくり注意を向けるといったトレーニングで高めることも可能とのことで、ライフスタイルとマインドフルネスの訓練を組み合わせることで、幸福に至るための道筋をみつけることが期待される。


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