2020年3月18日 学術会議が新型コロナ対策で声明 大規模感染症の科学的知見を収集し検討開始

わが国科学者の代表機関である日本学術会議は、新型コロナウイルス感染症対策に関する国民への要請と、今後の同会議の対応をまとめた幹事会声明を3月6日付で公表した。新型コロナウイルス感染症への対策・対応に関し、最大限の努力を傾注している国内外の関係者への敬意を表した上で、国民に対して国などの要請を踏まえた行動を行うよう求めた。また、学術会議に分科会を設置し、国内外の大規模感染症の科学的知見の収集などを通じた検討を開始する考えを示した。

学術会議によると、新型コロナウイルス感染症の感染者のなかで、症状が悪化し死亡する感染者の割合である致命率は、同じコロナウイルス感染症であるSARS(致命率約10%)やMERS(致命率約35%)より低い。一方で、季節性インフルエンザ(致命率0.1%以下)より高く、また、治療も基本的に対症療法に限られ、有効性が確認された抗ウイルス薬剤がないことから、感染が拡大すると重症者・死亡者が増大するという。

2月24日に開催された国の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議はこの流行について、「仮に感染の拡大が急速に進むと、患者数の爆発的な増加、医療従事者への感染リスクの増大、医療提供体制の破綻が起こりかねず、社会・経済活動の混乱なども深刻化する恐れ」があると指摘。「これから取るべき対策の最大の目標は、感染の拡大のスピードを抑制し、可能な限り重症者の発生と死亡数を減らすこと」との考えを表明した。

こうした状況を踏まえて学術会議では、「国民の協力により、感染の拡大スピードを抑制することができる」と、国民に対して自治体からの新型コロナウイルス感染症対策に関する要請への協力をあらためて求めた。

また、国、地方公共団体に対しては、新型コロナウイルス感染症が社会全体に及ぼす影響を深刻にとらえ、国民・企業・地域等に対する適正な情報を提供することの必要性を強調。新型コロナウイルス感染症の経験を今後の糧とするためにも、政策の決定過程と対策の実践の記録を残し、証拠に基づく政策立案の推進につなげるべきとの考えを表明した。

新型コロナウイルス感染症はわが国だけではなく、国際的な広がりをもった問題であることにも言及。わが国の学術の代表機関である学術会議として、国際学術会議やアジア学術会議との連携を強め、中国科学技術協会や米国科学アカデミーとの情報共有を進めて、世界の学術界での大規模感染症予防・制圧への国際的取り組みを進める考えを示した。

同時に、アジア・アフリカ諸国等での感染症対策に関しても情報収集を行い、必要な支援のあり方に関しても検討する。

学術会議は、大規模感染症の予防・制圧には、これまで事前に想定される事態を検討し、対応してきた。今後は、①予防・医療では、予防・流行阻止のためのガイドライン、ワクチンや治療薬の開発のための官民協力体制、緊急時の感染症病床を確保できるような体制などの整備、②感染蔓延に備える社会・経済体制などの準備が必要と指摘。

米国では、国民の健康・福祉に脅威となる感染症流行に際して、連邦政府機関であるCDCが、国内外を問わず現地で調査し、対策立案・実施、政府への助言などを行っている。学術会議では米国での事例も踏まえ、第二部(生命科学)に新たに大規模感染症予防・制圧体制検討分科会を設置し、今回の新型コロナウイルス感染症への対応を含めた、国内外の大規模感染症に関する科学的知見の収集等を通じて検討を開始。国民への適切な情報発信、経済社会への影響も含む行政等の対応、学術界や産官学の連携などの包括的な検証を行うこととした。

検証結果に基づき、米国の先行例も参考としつつ、大規模感染症の予防と制圧に必要な体制と整備のあり方を検討し、提言を作成・公表。政府の政策決定過程での専門家の参画のあり方や、将来の検討の基礎となる記録と保存のあり方についても提言する予定。


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