2020年11月27日 土層改良と部分不耕起帯設置を併用 営農作業で実施できる効果的な土壌流亡対策

農研機構と北海道立総合研究機構は共同で、生産者が通常の営農作業の一環として手軽に実施でき、かつ効果的に傾斜畑の土壌流亡を抑制できる対策を策定した。

近年の気候変動による集中豪雨の多発等により、特に丘陵地系の畑作地帯では土壌流亡の被害が甚大化しており、早急な対応策の確立が求められている。しかし、基盤整備による勾配修正などの抜本的対策は効果的だが、時間と費用がかかることから、生産者が簡易に実施可能な土壌流亡対策が求められている。

今回策定された土壌流亡対策は、①土層改良と ②部分不耕起帯設置との併用法。

①は、麦などの収穫残渣を疎水材に利用する有材補助暗渠機「カットソイラー」などの営農排水改良機「カットシリーズ」により、緊密土層を破砕して浸透性を高めることで表面流去水の発生を抑制する。

②は、土壌流亡しやすい地点に部分的(ライン状やドット状)に不耕起帯のボーダー(土堤)を設置する「ドットボーダー・プロテクト」により侵食耐性を改善(プロテクト)する。

北海道美瑛町での現地実証における土壌流亡量の削減率は、土層改良のみの場合は2~3割、部分不耕起帯設置のみの場合は2割程度であるのに対し、両者を併用した場合は3~8割となり、それぞれを単独で実施するよりも土壌流亡抑制効果が向上した。

今回策定された、土層改良と部分不耕起帯設置を併用した営農作業で実施できる土壌流亡対策については、その留意点、北海道美瑛町の畑輪作における実施スケジュールの事例を示したパンフレットが公開されている。

 

土壌流亡の被害が甚大化 求められる対応策の早急な確立

わが国では、食の多様化や自給率向上のため畑作物の生産強化が求められている。その一方、気候変動による集中豪雨の多発により、畑作地帯では土壌流亡の被害が顕在化している。特に、丘陵地形の畑作地帯では、土壌流亡の被害が甚大化しており、地域から早急な対応策の確立が求められている。

また、農地が被災すると作土の損失や生産基盤の崩壊などの大きなダメージを受けることから、減災対策の構築が緊急の課題となっている。しかし、基盤整備による勾配修正などの抜本的対策は効果的だが、時間と費用が掛かってしまう。そのため、生産者が営農作業の一環として生産性を維持しながら簡易に実施可能な土壌流亡対策が求められている。

 

土層改良と部分不耕起帯設置を併用 土壌流亡抑制効果のさらなる向上

わが国における土壌流亡対策としては、基盤整備による勾配修正、沈砂池の設置、ほ場内明渠や畦の設置、等高線栽培、ほ場下部へのグリーンベルトや河畔林帯の設置などが取り組まれている。しかし、未だ生産者が簡単に取り組め、かつ効果的な技術が少ない状況にある。

そのため、農研機構ではこれまでに、心土破砕や補助暗渠敷設などの土層改良を生産者が迅速で簡単に実施可能な「カットシリーズ」を開発するとともに、耕耘管理の一環としての部分不耕起帯設置による侵食耐性の改善法を開発してきた。

今回、これら二つの技術を併用することで、土壌流亡抑制効果のさらなる向上を図り、その効果を現地実証した。

 

北海道美瑛町での実証 土壌流亡量を3~8割削減

今回策定された土壌流亡対策は、生産者が通常の営農作業の一環として手軽に実施できる、(1)土層改良と (2)部分不耕起帯設置との併用法。

(1)は、麦などの収穫残渣を疎水材に利用する有材補助暗渠機「カットソイラー」などにより、緊密土層を破砕して浸透性を高めることで表面流去水の発生を抑制する。(2)は、等高線方向の耕耘作業時に0.5~5m幅のライン状に、あるいはガリ(水の流れが地面を削ってできる沢状の大きな溝)が頻繁に発生し始める地点にドット状に、部分的な不耕起帯を設置する「ドットボーダー・プロテクト」によって侵食耐性を改善する。

北海道美瑛町でこの技術を適用した結果、収穫後に実施した土層改良と部分不耕起帯による土壌流亡量の削減率は、裸地期間終了時において、土層改良のみの場合は2~3割、部分不耕起帯のみの場合は2割程度であるのに対し、併用した場合は3~8割となり、それぞれ単独で実施するよりも土壌流亡抑制効果が向上した。

この技術が対応できる降雨量は80mm/日までを想定している。

 

既存技術との併用で相乗効果が期待

今回策定された対策に関しては、普及対象を全国の畑地帯の農業者、自治体の担当部局、農業機械メーカーとしている。また、普及予定地域・普及予定面積・普及台数等については、生産者や自治体の防災対策担当、対象者が組織する地域対策協議会等を想定している。現在、北海道美瑛町の土壌流亡対策協議会(生産者と行政)で導入が推進されている。

ほかに、土層改良技術のカットシリーズは農業機械販売店で市販されている。また、この技術は北海道農政部における2019年度北海道農業試験会議の普及推進事項。北海道では、北海道立総合研究機構と北海道農政部の普及組織を通じた普及活動が進められており、土壌流亡の軽減による流域の減災に貢献するとしている。さらに、この技術と既存技術のグリーンベルトや樹林帯等を併用することで相乗効果が期待できる。

 

プレスリリースより


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