2020年5月15日 加熱式タバコ、属性に対応した政策を 東北大が調査研究 高い若者と高所得者の使用率

ここ数年急速に普及しつつある加熱式タバコ。若者と高所得者の使用率が高く、こうした層の喫煙率のさらなる低下を妨げる可能性があることが、東北大学大学院歯学研究科の調査分析で明らかとなった。この調査結果は、若者と高所得者の喫煙率は低いとされていた紙巻きタバコに関する定説とは異なる。同研究科では、加熱式タバコ喫煙者の属性にも対応したタバコ規制政策の必要性を強調している。

喫煙はがんや循環器疾患など多くの疾患による死亡リスクを高めることが報告されているなか、ここ数年、日本では加熱式タバコが急速に普及している。普及して間もない加熱式タバコの健康影響については明らかになっていないため、従来の紙巻きタバコと同様に対策すべきだとされている。喫煙率には社会経済状況等により格差が存在することが明らかになっているが、先行研究で、加熱式タバコの認知度や使用経験割合は報告されている一方、加熱式タバコ喫煙者の属性について調べた研究は多く存在しない。

今回の研究は、加熱式タバコ喫煙者の社会人口学的特徴を明らかにすることを目的に実施したもの。2017年に国内で20‐69歳を対象として行われたウェブ調査のデータを用いて、横断研究を実施。「非喫煙者」、「紙巻きタバコのみ喫煙者」及び「加熱式タバコ喫煙者(その他のタバコとの併用を含む)」の3群に分類した約5000人を分析対象とした。

調査の結果、解析対象者のうち、「非喫煙者」は4077人(82.8%)、「紙巻きタバコのみ喫煙者」は700人(14.2%)、「加熱式タバコ喫煙者」は149人(3.0%)。男女ともに、60‐69歳と比べて20‐29歳は加熱式タバコを有意に多く使用していることが明らかとなった。

男性では、等価所得200万円群と比べて400万円以上群は有意に多く加熱式タバコを使用。喫煙者だけを解析対象にした場合も、同様の結果が認められた。また、他の社会経済的地位の指標(学歴及び職業)を用いた場合にも、社会経済的地位の高い者に加熱式タバコ喫煙者が多いという結果は一貫していた。

今回の研究により、若者や社会経済的地位の高い者に加熱式タバコが多く使用されていることが示された。一般的に、わが国ではこれらの人々の喫煙率は低いことが報告されているため、紙巻きタバコとは対照的であるといえる。

このため、加熱式タバコの普及により、わが国で経年的に減少している喫煙率の低下が妨げられる可能性がある。同研究では、自記式のアンケートを使用しているため、誤分類の可能性も排除できない。しかし、自己申告の喫煙状況は、実際の喫煙状況よりも過小評価される傾向があることが報告されており、同研究では、加熱式タバコ喫煙の存在率を過小評価する可能性がある。

また、同研究のアンケートは、加熱式タバコの喫煙の有無を、具体的な製品名を挙げて質問した。専門家以外は、加熱式タバコと電子タバコを区別することは難しいと考えられているため、製品名を使用して質問したことにより、加熱式タバコ使用者を明確に区別できたと考えられる。こうした調査方法なども踏まえて、同研究科では、「加熱式タバコを含めたタバコ規制政策を検討するためには、今回の研究結果で示された加熱式タバコ喫煙者の属性にも対応する必要があると考えられる」と訴えている。

 

所得別の喫煙率。各所得グラフ左が紙巻きタバコのみ喫煙者、同右が加熱式タバコ喫煙者


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