今後10年間を見据えた中長期的な視野から、地方公共交通の活性化・再生の取組の方向性について検討していた国土交通省の「地域交通の活性化及び再生の将来像を考える懇談会」(座長:山内弘隆一橋大学大学院商学研究科教授)はこのほど、これまでの議論の成果を提言としてまとめた。提言では、地域公共交通を活性化・再生するための今後の方向性として、地域公共交通ネットワークの形成のあり方、利便性の向上、需要の創出、運転者不足、車両の老朽化、自動運転、高齢者の移動手段をあげている。国交省では今後、提言を踏まえて具体的な方策を検討し、着実に取組を進めていく方針だ。

平成19年の地域公共交通活性化再生法制定からこれまでの10年とこれからの10年について、同法制定後、26年に法改正を行った結果、網形成計画の策定などに正面から取り組む地域が増えつつある一方で、取組に着手もできていない地域もいまだ多く、地域間の格差が拡大していることを指摘している。

その上で、今後10年間で人口動態の変化、技術革新の進展等が予想される中、まだまだやれることがあるという意識を持って、活性化再生法による地域主体で取り組むという枠組みの下、それぞれの地域の実情に応じた「あるべき姿」を目指して、地域公共交通に関わる各主体が期待される役割を果たすことが望まれるとした。

地域公共交通を活性化・再生するための今後の方向性のうち、地域公共交通ネットワークの形成のあり方では、将来的な地域ビジョンを明確にしながら、交通圏全体を見据えた公共交通ネットワークの検証・再構築が必要としている。

また、路線が果たすべき役割を明確にし、地域の実情にあわせて路線の強化、需要に応じた運行形態、輸送力や運行頻度の設定やその他きめこまやかな地域内交通サービスの提供を行うこと、重複する路線の設定のような非効率が生じないよう、ネットワーク全体での利便性と効率性の向上を図ることなども掲げている。

公共交通の利便性の向上、需要の創出では、経路検索等の全国網羅的な情報提供の実現とともに、地域の公共交通マップ等の地域の情報提供の充実を促進する必要があるとした。

また、病院やスーパー、観光施設や「道の駅」等にバス停を設置したり、上屋やベンチを整備することで、快適な待合環境を実現すること、地域公共交通の潜在的な利用者や確実な需要が見込まれる層の取り込み等も求めている。

運転者不足、車両の老朽化、自動運転、高齢者の移動手段では、福利厚生面も含めた待遇改善、短時間勤務制度の導入、女性の活用など志望者・採用者増加に向けた取組のほか、限られた人的資源を有効に活用するための貨客混載やスクールバス等の一体化を求めている。

また、地方公共団体による車両の保有(上下分離)の促進、利用者のニーズに合致した新たな車両の開発・普及などが必要とした。

提言ではこのほか、各主体に期待される今後の取組として、交通事業者の経営力の強化、地方公共団体の交通政策の実行力の向上、地元住民の意識改革と主体的な参画、国→各主体の後押しと環境整備をあげている。