2021年12月9日 人文社会学科の履修コースを改編 奈良女子大「人類知を考える鍛錬」の4年間に

国立大学の奈良教育大学と奈良女子大学は、来年4月1日に設立される国立大学法人奈良国立大学機構の下で新たな一歩を踏み出す。奈良女子大では明年度から女子大初の「工学部」をスタートさせることにしており、文系の高校生にも入学を薦めている。同時に文学部人文社会学科では、歴史学コース・地理学コース・社会学コースの全3コースに改編する予定。

 

古今東西、ひろがりつながる ―歴史・空間・社会の謎に迫る

奈良女子大によると、歴史学コースでは、考古学や日本美術史などを含む古代学、日本史、東洋史、西洋史を学び、多様な時代·地域に視野を広げ、国際的文化交流、政治、宗教、思想、文化など、さまざまなテーマ·領域を扱う。少人数でのゼミや専門書・外国語文献·史料(古文書・古記録・図像・彫刻・出土遺物)の解読によって基礎力を養い、柔軟に考え、感性を磨き、それを自由なテーマによる卒業論文作成へ発展させる。

地理学コースでは、人文地理学、自然地理学、地誌学、地域研究を学ぶことにより、グローバルな視点やミクロな視点から人間と環境·地域との関係を探究する。具体的には、地域の自然·社会·経済・文化、都市の成り立ち、まちづくり・地域づくり、ツーリズム、ジェンダー、景観、環境問題、自然災害など、さまざまなテーマ・領域を扱う。

社会学コースでは、人々の生きる社会は、人々の関係とつながりを基礎とした仕組み(制度・構造)と、それらを持続あるいは変化させる媒体(文化・コミュニケーション)から成り立っている。このコースでは、これら社会を構成する要素を基本的視点に置きつつ、現代社会で生じている諸現象を読み解くことを目的としている。

奈良女子大では、「古今東西の世の中・つながり・空間・イメージなどの世界を探究しようとするのが、この人文社会学科」と説明。

世界や古代のこと、目の前にあるのに見えていなかった物事などを鋭くとらえ考える鍛練は、学生たちが人生で出会う諸問題を解決する力となり、世の中の変革にもつながることだろう。

 

実習や演習中心のカリキュラム

1年次では、歴史学や地理学、社会学など、各専門分野をおおまかに知ることのできる「概論」科目を履修。できるだけ様々な分野の概論を受講することで、幅広い知識を習得する。2年次からは、より詳細な話題を扱う「特殊研究」、史料や専門的な文献を読みこなす「講読」、調査や分析のスキルを実際に体験しながら身につける「実習」といった科目の履修が始まる。3年次からは、少人数の環境で、関心のあるテーマについて報告・議論しながら、知識やスキルを応用的に習得する「演習」を履修。4年次は、「卒業論文演習」を履修し、学生一人ひとりが自分のテーマを設定して研究を進め「卒業論文」を完成させる。

来年度には北海道でも帯広畜産大学の主導のもと、北見工業大学、小樽商科大学の3大学が連携し、「北海道国立大学機構」が発足する。人口減少や少子高齢化が急速に進展する中にあっても、今後のわが国の確実な成長・発展を支える〝人材育成〟を見据えた国立大学の構造改革が進んでいる。


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