国際協力機構(JICA)は、モンゴルの首都ウランバートルで、同国政府との間で、「財政・社会・経済改革開発政策借款」を対象として320億円を限度とする円借款貸付契約に調印した。

モンゴルは鉱物資源セクターがGDPの20%、輸出の90%を占め、経済は石炭や銅を中心とした鉱物資源セクターに大きく依存している。主要輸出品である鉱物資源価格の下落、輸出の80%を占める中国経済の成長鈍化、制限的な投資政策などによる外国直接投資の流入減などといった影響を大きく受け、2011年に17%を記録したGDP成長率は2016年に1%にまで落ち込んだ。

財政面でも、国内インフラ整備費用の増加、支給対象者の絞り込みが不十分なことによる社会保障支出増加などを受けて、財政赤字の対GDP比は2016年に17%を記録した。また、2011年に33%だった公的債務残高の対GDP比は、2016年に88%に拡大するといった状況にあり、経済・財政再建に向けた改革が喫緊の課題となっている。

こうした状況を受けて、2017年に国際通貨基金(IMF)、世界銀行、アジア開発銀行などを中心に総額約56.5億ドルの国際支援枠組みが作られている。

署名式の様子

この事業は国際支援枠組みの一環としてモンゴルの経済・財政再建を目指すもので、同国政府による「安定的なマクロ経済運営」「社会的弱者支援の促進」「経済成長の強化」の3つの分野における改革を支援する。

具体的には、安定的なマクロ経済運営の分野において財政規律の強化等の改革を支援し、社会的弱者支援の促進の分野では社会的弱者への補助金ターゲット化・生活環境改善などの改革を、経済成長の強化の分野では投資環境整備を通した外国直接投資の活性化と経済多角化の改革を後押し。マクロな視点に立った中長期の改革を支援するとともに、短期的にはモンゴルの財政負担の軽減に貢献し、財政・社会・経済の安定化にも貢献する。

また、日本とモンゴルを含む国連全加盟国が持続可能な開発目標(SDGs)に合意してから2年が経過したが、今回の事業で対象の1つとなる社会的弱者支援、中でも貧困層が多いゲル地区の生活環境の改善はSDGsの理念である「誰一人取り残さない」を実現するもの。

さらに、経済成長の強化に加え、モンゴルにおいて実施しているさまざまなプロジェクトと連携することで、社会保障及び医療の充実、首都ウランバートル市の大気汚染への環境対策といったSDGsで求められている経済・社会・環境の3側面を包括的に支援していく。