2019年7月31日 ドローン空撮で作るほ場マップの精度改善 小型受信機を活用、正確な情報で利用場面が拡大

農研機構は、市販の小型受信機を使って、みちびきなどのGNSS情報を利用し、ドローン用対空標識の位置情報を計測する方法を解説したマニュアルを公開した。このマニュアルをドローン画像解析ソフトと合わせて使うことで、農業現場では、ほ場の地面の凹凸や作物の生育むらを誤差数センチメートルレベルの高い位置精度でマップ化できるようになる。また、今回の成果は、農業分野に限らず位置情報にもとづくきめ細やかな作業や管理を行うための空間情報インフラ整備に貢献すると期待されている。

近年、スマート農業を実現するための先端技術の導入が進む中、農作物の生育状態の診断やロボット農機具の運用に、ドローン空撮画像の活用が期待されている。これらの目的でドローン空撮画像を利用する場合には、空撮の際に用いる目印(対空標識)の正確な位置情報(緯度・経度・標高)を合わせて計測する必要があった。

これまで、位置座標の計測には、トータルステーションやGNSS(全球測位衛星システム)測量システムといった測量専門の機材が利用されていた。しかし、高度な専門知識や高額な機材の初期導入コストが必要となっていた。

このため、農研機構は、近年急速に価格が安くなり、性能も向上した小型GNSS受信機を使用することで、誰でも簡単に対空標識の正確な位置情報を計測することのできる手法の検討を行った。

 

開発手法の概要・今後の展開方向

今回の研究では、対空標識の位置座標を精度よく計測するため、小型GNSS受信機を用いた測位方法の活用が検討された。この手法では、基準地点(国土地理院の電子基準点)と未知点(小型GNSS受信機の設置点)の2地点で同時に観測されたGNSSデータ(米国のGPSや日本のみちびきを含む全球測位衛星システムからの電波情報)を解析することで、小型GNSS受信機設置地点の正確な位置情報を計測する「干渉測位法」を適用し、ドローン空撮を行う際に設置する目印である「対空標識」の位置情報の計測を行う。

この手法で計測された対空標識の位置情報と、公共測量に使われる測量機器(トータルステーション)により算出された位置情報を比較したところ、測位誤差は水平方向で2.1cm、垂直方向で2.2cmだった。この結果により、この手法で対空標識の位置情報を高い精度で測位可能であることが確認された。

この手法では、小型GNSS受信機(1台約10万円)を導入すれば、計測が可能になる。また、小型GNSS受信機を複数台同時に使用することで、複数点の対空標識を効率よく計測することができる。位置情報の計測は、1人で実施可能。不陸(凹凸)計測などで高さ方向にミリメートルレベルの位置精度が必要な場合は、回転レーザー等のレベル測量機器を別途用意する必要がある。

さらに、位置情報の解析には、無料のオープンソースのソフトウェア「RTKLIB(高須知二氏開発・公開)」を用いるので、ソフトウェア利用料などのランニングコストは発生しない。

また、今回開発された手法を誰でも使えるように、マニュアルが作成されている。マニュアルでは、①はじめに(作業手順概要)、②機材の準備・観測計画、③対空標識の設置、④GNSS観測、⑤RTKLIBによる基線解析、⑥Agisoft PhotoScanへの座標情報の反映 ― という一連の作業に沿って解説が行われている。

2018年4月に農研機構が公表した「ドローンを用いたほ場計測マニュアル(不陸(凹凸)編)」と合わせて使用することで、精緻な位置情報を有する農地面の凹凸(不陸・排水性)マップや生育むらマップの作成が可能になる。

こうしたマップが整備されることで、土壌改良資材や排水改良工事を散布・施工すべき最適な場所の位置を正確に把握することができるようになり、位置情報にもとづく効率的なほ場管理を実現するための基盤的な空間情報インフラの整備につながると期待されている。

農研機構では、今後、利用者の意見を聞きながら、さらに使いやすい手法の開発やマニュアルの改善などを進めていくとしている。


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