2020年2月10日 キクの効率的なDNAマーカー開発技術 品種開発を加速化させる成果として大きな期待

農研機構と(公財)かずさDNA研究所は、同質六倍体であるためにDNAマーカー開発が困難だった栽培ギクにおいて、効率的にDNAマーカーを開発する手法を確立した。6セットのゲノムのうち、1セットのゲノムにのみ存在する配列の違いをDNAマーカー化することで、有用な性質と関連するDNAマーカーを効率的に開発することができる。この手法により、キクのDNAマーカー開発が進み、効率的な品種開発が可能になると期待される。

キク(栽培ギク)は日本で最も多く生産・消費される花きで、その切り花生産本数は日本全体の約3分の1を占めており、花きの生産の基幹となる品目として位置付けられている。

わが国では、年間約19億本のキクが消費されているが、お盆やお彼岸の需要期の供給不足を背景に、近年は赤道直下の高地に位置する新興花き産地からわが国への輸出が急増しており、国内市場流通に占める輸入品のシェア増大が続いている。このため、需要期の供給不足を補い、国産シェアを奪還するため国内の増産が求められており、生産性が高く、病害虫に強い品種開発が急務となっている。

現在、キクの品種開発は育種者の経験に基づいて行われているが、DNAマーカーなどのゲノム情報を活用することで効率的な品種開発が可能となる。しかし、キクは同質六倍体で遺伝様式が複雑なため、DNAマーカーの開発がきわめて困難だった。

 

キクのDNAマーカーを効率的に開発する手法を確立

研究グループでは、花の形態や生育開花習性がキクと同様である二倍体野生種のキクタニギクをモデル植物として用い、キクの同質六倍体の問題を解決することを目指して研究を進め、これまでキクタニギクの全ゲノムの解読や遺伝子地図(連鎖地図)を作成し、キクの育種基盤として整備してきた。

今回の研究では、キクのDNAマーカーを効率的に開発する手法を確立した。

この手法では、まず、ddRAD‐seq解析によって、キクのゲノム配列の断片情報を取得する。次に、キクタニギクのゲノムを参照配列として、キクのゲノム配列断片の対応する部分を並べ、DNA多型を見つけるとともに、その座乗位置を明らかにする。この座乗位置の情報から6ゲノムのうち1ゲノムだけに座乗するDNA多型だけを選抜する。

さらに、関連解析により有用な性質と相関のあるDNA多型を同定し、DNAマーカーを開発する。複数ゲノムに座乗するDNA多型は遺伝が複雑で解析が困難なため、1ゲノムだけに座乗するDNA多型をマーカーとして用いることにより、同質六倍体でも関連解析を利用したDNAマーカー開発が可能になる。

研究では、この手法を用いて花弁色に関するDNAマーカーの開発が試みられたが、その結果、既知の花弁色決定遺伝子「CmCCD4a遺伝子」の近傍にDNAマーカーを同定できたことから、手法の有効性が確認された。

 

ゲノム情報を活用したキクの効率的な品種開発が可能に

今回開発された手法は、キクの品種開発に関連する機関でのマーカー開発に活用されることが見込まれる。今後は、DNAマーカーを使うことによって、形質による選抜に要する時間と手間の軽減、複数の有用形質を導入する時間と手間の軽減など、ゲノム情報を活用したキクの効率的な品種開発が可能になると期待されている。


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