2019年5月14日 がん治療と就労の両立へ 順天堂大が支援ガイドをウェブで公開

順天堂大学は、医学部公衆衛生学講座の谷川武教授、遠藤源樹准教授、医学部乳腺腫瘍学講座の齊藤光江教授、医学部衛生学講座の横山和仁客員教授、医学研究科上部消化管外科学の鶴丸昌彦特任教授らが中心となり、患者・医療機関・職場のそれぞれの立場に対応した順天堂発の「がんと就労」支援ツールを掲載したウェブサイト『順天堂発・がん治療と就労の両立支援ガイド‐Cancerand Work‐』を4月12日に開設した。中心となってサイトを開設した遠藤准教授は、「〝誰でもリカバリーが打てる社会」の一助になればと期待を込めた。

 

がんとともに生きていく時代

現代は、男性は三人に二人、女性は二人に一人が生涯でがんになると言われており、まさに『がんとともに生きていく時代』だと言える。医療技術の進歩により多くの病気が〝不治の病〟から〝長くつきあう病気〟へと変貌しつつあるなかで、がんは治療と就労を両立させることが難しく、働くがん患者の約3割が退職を余儀なくされているのが現状。

国民生活基礎調査によると、働きながらがん治療を続ける人は約32.5万人(2010年度)にのぼる。がん就労者が増加した背景には、多くの企業で定年年齢が65歳に引き上げられたことや、結婚後も働く女性が増えたことなどさまざまな要因がある。現役世代のがん患者が確実に増加している現在、診療する医療機関も、雇用する企業も、仕事と治療を両立するための配慮と工夫が必要で、社会的にも両立のための仕組みが求められている。

順天堂大では、遠藤准教授を中心に日本初のがん患者大規模復職コホート研究を実施し、順天堂オリジナルの就労支援ツールを開発した。また、日蘭米がんサバイバーシップ国際共同研究により治療と就労の両立支援に関するノウハウを蓄積し、それらの成果を患者本人や家族、さらに医療と就労の現場で活用してもらえるよう、『順天堂発・がん治療と就労の両立支援ガイド‐Cancer and Work‐』として公開した。

 

疾病性と事例性の相違、就労支援の最大の壁に

ガイドは、①がん患者の就労支援モデル事業【医療機関向け】、②主治医と産業医の連携ガイド【患者、医療機関、職場向け】、③がん種別治療モデルカレンダー【同】、④選択制がん罹患社員用就業規則標準フォーマット【職場向け】、⑤がん治療と就労のエビデンスブック【患者、医療機関、職場向け】、⑥企業向け・がん罹患社員用就労支援ガイド―で構成している。

このうち、がん患者の就労支援モデル事業は、遠藤准教授が中心となり開発した『がん健カード作成支援ソフト』を紹介している。

医療機関は、がん患者の就労支援として、患者が現在どのような症状で、働く上でどのような配慮が必要なのかを意見書にまとめ、職場へ提供している。その際、医師が書く病名、症状や治療に関する事象のことを「疾病性」という。一方、がん患者を雇用する事業者は患者が復職した際、業務を遂行する上で配慮すべき点を把握することが必要で、この事象を「事例性」という。

このように、医療機関では「疾病性」が用いられ、職場では「事例性」が必要で、「疾病性」と「事例性」の相違が治療と就労の両立支援の最大の壁となっている。この問題を解決するのが『がん健カード作成支援ソフト』。「疾病性」の言葉を「事例性」の言葉に翻訳する機能を搭載しており、医師がソフトウェアの指示に従って選択・クリックするだけで、職場への就労に関する意見書の素案を簡単に作成することができる。

また、選択制がん罹患社員用就業規則標準フォーマットは、同大によるわが国初のがん患者大規模復職コホート研究の結果をもとに、短時間勤務制度、在宅勤務制度、特別病休付与等をがんの種別や治療状況に応じた内容を盛り込んだ新しい形の就業規則モデルとなっている。


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