今年度から開始する多様な新ニーズに対応する「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プランを選定審査を進めていた文部科学省は、国公私立大学の連携によって取り組む11事業を選定した。

がんプロフェッショナル養成事業(平成29年度予算額:15億円)では、大学間の連携による「がん医療人材養成拠点」において、各大学の特色を生かした教育プログラムを構築し、がん医療の新たなニーズに対応できる優れたがん専門医療人材を養成する取組を選定し、支援するもので、申請のあった13件について推進委員会の審査を行っていた。

 

1日約1千人ががんで死去

がんは、わが国の死因第一位の疾患で、1日に約1千人が、がんで亡くなっており、国民の生命及び健康にとって重大な問題となっている。政府では、がん対策の一層の充実を図るため、「がん対策基本法」を制定し、がん対策推進基本計画に取り組んでいる。

がん専門医療人材養成に係るこれまでの成果をみると、日本のがん医療で不十分とされている放射線療法、化学療法、緩和医療等に関する専門資格取得に向けた大学院教育コースや臓器横断的な講座の設置等によりがん専門医療人材の育成に一定の成果があがっている。

こうした中、今後のがん対策の新たなニーズとして、1)ライフステージごとに異なった身体的問題、精神心理的問題、社会的問題が生じていることから、思春期世代と若年成人世代や高齢者のがん対策など、ライフステージに応じたがん対策、2)アカデミアや企業と協力してゲノム医療の実用化に向けた取組の加速、また、医師や医療機関の情報が不足していることや病理診断が難しい、3)がん看護領域の専門・・認定看護師の確保、緩和医療に関する大学講座が少なく卒前教育が不十分、医学生・臨床研修医・看護学生・薬学生らへの緩和ケアに関する教育・研修の推進―といった課題が生じてきている。

 

推進委員長が所見「連携大学が一体で事業を」

審査に当たったがんプロフェッショナル養成推進委員会の今井浩三委員長(東京大学客員教授)は、「事業の構想(事業の全体構想、教育プログラム・コースの優秀性)及び事業の実現可能性(事業の運営体制、事業継続・普及の具体性)を審査した」との所見を明らかにしている。また、選定された各大学に対し、1)連携大学すべてが一体となって事業を推進する、また、5年間の事業期間終了後も各大学において自立化した事業体制を構築する、2)厳格な事業の進捗管理の下、事業の不断の見直しを行う、3)地域や社会、他大学の参考となるよう積極的に情報発信することにも留意を求めている。

採択されたがんプロ養成プランの申請担当大学と連携大学、事業名は―

 《東北大学》(山形大学、福島県立医科大学、新潟大学)「東北次世代がんプロ養成プラン」
 《筑波大学》(千葉大学、群馬大学、日本医科大学、獨協医科大学、埼玉医科大学、茨城県立医療大学、群馬県立県民健康科学大学、東京慈恵会医科大学、上智大学、星薬科大学、昭和大学)「関東がん専門医療人養成拠点」
 《東京大学》(横浜市立大学、東邦大学、自治医科大学、北里大学、首都大学東京)「がん最適化医療を実現する医療人育成」
 《東京医科歯科大学》(秋田大学、慶應義塾大学、国際医療福祉大学、聖マリアンナ医科大学、東京医科大学、東京薬科大学、弘前大学)「未来がん医療プロフェッショナル養成プラン」
 《金沢大学》(信州大学、富山大学、福井大学、金沢医科大学、石川県立看護大学)「超少子高齢化地域での先進的がん医療人養成」
 《京都大学》(三重大学、滋賀医科大学、大阪医科大学、京都医科大学)「高度がん医療を先導するがん医療人養成」
 《大阪大学》(京都府立医科大学、奈良県立医科大学、兵庫県立大学、和歌山県立医科大学、大阪薬科大学、神戸薬科大学)「ゲノム世代高度がん専門医療人の養成」
 《岡山大学》(愛媛大学、香川大学、川崎医科大学、高知大学、高知県立大学、徳島大学、徳島文理大学、広島大学、松山大学、山口大学)「全人的医療を行う高度がん専門医療人養成」
 《九州大学》(福岡大学、久留米大学、佐賀大学、長崎大学、熊本大学、大分大学、宮崎大学、鹿児島大学、琉球大学)「新ニーズに対応する九州がんプロ養成プラン」
 《札幌医科大学》(北海道大学、旭川医科大学、北海道医療大学)「人と医を紡ぐ北海道がん医療人養成プラン」
 《近畿大学》(大阪市立大学、神戸大学、関西医科大学、兵庫医科大学、大阪府立大学、神戸市看護大学)「7大学連携個別化がん医療実践者養成プラン」