2022年3月24日 「デジタル森林浴」がストレスを低減する 森林環境が再現された室内体験が心身の疲労を回復

(国研)森林研究・整備機構森林総合研究所とフォレストデジタル株式会社の研究グループは、デジタル技術を使って森林の風景・音・香りを屋内で再現した「デジタル森林浴」に、生理・心理的な改善効果があることを明らかにした。

 

「デジタル森林浴」に期待される心身の疲労回復効果の検証

森林浴に心身の疲労回復効果があるかについては、これまでにも多数の調査が行われており、効果や特徴の解明が進められてきた。近年ではそれらの研究成果を基礎として、「森林サービス産業」などの森林内の空間利用を促進する政策が実施されている。

一方、都市部では、遠い、馴染みがないといった理由から、森林を訪れる機会に恵まれない人々も多数いると思われる。

これまで、「都市施設や自宅で森林浴を再現することができれば、森林を訪れなくとも手軽に心身の疲労回復効果が得られる」との期待から、風景(森林内の映像)・音(環境音)・香り(精油)などの森林由来要素を用いた「デジタル森林浴」のシステムがフォレストデジタル株式会社により開発、製品化されている。

このシステムに期待される心身の疲労回復効果については、科学的な視点から検証することが求められていた。

 

「デジタル森林浴」には森林浴と同程度の高い回復特性がある

今回の研究では、森林総合研究所がフォレストデジタル社と共同で、都市施設に設置した「デジタル森林浴」がもたらす生理的・心理的な改善効果と、改善効果の原因が調べられた。

調査は、令和3年2月9日、10日の両日、銀座アートホールにて、公募で選ばれた25名(男性12名(平均37.9歳)、女性13名(平均34.5歳)の被験者を対象に実施。生理指標として「血圧」、「心拍数」、「副交感神経活動」などの7項目、心理指標として「気分(POMS)」、「感情(PANAS)」、「回復感(ROS)」の3項目が用いられた。また、一般的な「環境条件」が人の心身に改善をもたらすと考えられる具体的要素(回復特性)として、例えば「逃避したい気持ちが改善される」等が、森林浴と「デジタル森林浴」に同様に含まれているのかが調べられ、改善効果の原因について考察が行われた。

実験は、「デジタル森林浴」体験前に被験者の心理指標・生理指標の測定を行い(体験前測定)、その後、被験者に約20分「デジタル森林浴」を体験してもらい、終了後に再度、心理指標・生理指標を測定(体験後測定)し、最後にPRSを用いて回復特性の調査を行った。「心拍数」や「副交感神経活動」、「交感神経活動」については、被験者が実験に参加している時間を通して、ミリ秒(分解能)という非常に高速な測定が行われている。

実験の結果、データでは、安静時と比較して「デジタル森林浴」の体験中に「副交感神経活動」が、体験前後の比較では「回復感」が有意に上昇した。一方、「デジタル森林浴」の体験中に「心拍数」が、体験前後の比較では「気分」の緊張‐不安、抑うつ、怒り‐敵意、疲労、混乱、および感情のネガティブ感情が有意に低下した。

次に、過去に行われた研究データから、森林浴後の心理データを取り出し、「デジタル森林浴」体験後の心理データを比較。その結果、「デジタル森林浴」体験後の各効果は、実際の森林浴に近い水準であることが分かった。

さらに、その原因を探るため、より具体的に環境条件を評価できる回復特性について比較したところ、両者は非常に近いことが明らかとなり、「デジタル森林浴」には森林浴と同程度の高い回復特性があるため、心理的な改善効果が得られていると考えられた。

 

外出できない人や移動困難者が多い場所でのリラックスの場に

今回の研究により、風景・音・香りといった森林由来要素を活用して森林を再現した「デジタル森林浴」の効果について、エビデンスの一端が得られた。

今後、「デジタル森林浴」を都市部で活用することで、コロナ禍で思うように外出できない人々のストレスの軽減や、病院・高齢者医療施設など移動困難者が多い場所でのリラックスの場の創出などに繋がると期待されている。

また、森林に関心のない人々にも気軽に森林浴を体験してもらい、心身の疲労回復効果など森林の良さを知るきっかけとなることにも期待が寄せられている。


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